おうちでしごとするということ

脱サラ後の第2の人生で思うことの綴り

奈良に在る古いため池について

f:id:geotech:20130506164706j:plain




 奈良市内の西部には蛙又池(かえるまたいけ)と言う風光明媚なため池がある。近鉄菖蒲池駅の南側、歩いて数分の場所に位置する。この池は、とてつもなく歴史的に価値のあるため池である。築造は推古天皇の時代(607 年)とも伝えられ、日本書紀にも登場する。

 「我が国最古のため池」の称号は、現在、大阪の「狭山池」(616 年)にある。狭山池の年代は、発掘された遺跡を年輪年代測定で鑑定しているため精度が高い。一方、蛙又池の年代は書物等による伝承のみであるため、少々、分が悪い。しかしながら、蛙又池の方が最古である可能性は十分に高い。

 ため池とは、用水確保のために水を貯えた人工の池である。では、ダムとの違いは何か。農林関係では、堤高が15m 未満をため池、15m 以上をダムと呼んで区別している。蛙又池の堤高はほぼ15m未満、狭山池の堤高は15m以上なので、それぞれ「我が国最古のため池」と「我が国最古のダム」として共存するのが良いと思う。

 ところで、平成23 年12 月、奈良県橿原市で、所在地が不明だった「磐余池(いわれいけ)」と見られる6 世紀の人工池の堤跡が見つかった。日本書紀万葉集に収められた大津皇子の辞世の歌にも登場する磐余池である。日本書紀には、磐余池のほとりに聖徳太子の父、用明天皇(在位585~587年)が池辺双槻宮を営んだとの記述があることから、磐余池は上記の蛙又池や狭山池よりも古いため池である可能性が高い。「日本で一番古いため池」議論が熱くなれば良いと思う次第である。