おうちでしごとするということ

脱サラ後の第2の人生で思うことの綴り

新聞配達

 

昭和40年代、大阪。父がミニサイクルを買ってくれた。近所の友達より随分と遅かったが、小学4年で初めて自転車に乗った。年の離れた弟を乗っけて、バスを見に行くのが楽しかった。

 

5年生になりクラス替え。学校がつまらなくなった。お小遣いも欲しかった。授業が終わると、毎日、ミニサイクルに乗って夕刊を配達した。新聞配達を始めてからは幾分気が晴れた。

 

夏は暑くて大変だったが、新聞屋の奥さんがアイスを買ってくれた。数少ない楽しみだ。冬は難儀だった。その年の大阪は雪の日が多く、手が悴んできつかった。我慢を覚えた。

 

配達先には写真館があった。郵便受けに夕刊を差し込み、玄関横のウィンドウを見る。飾られている写真の1枚が私に元気をくれた。妹の写真、いつも微笑んでいる。

 

春が来て新聞配達は終わった。引っ越しすることとなり、小学校を転校した。写真館には行けなくなった。でも、妹や弟とは毎日おうちで一緒なので、特段さみしくはなかった。